8月25日

爆発のときを待っていた渡辺美里、すべては「GROWIN' UP」から始まった!

50
4
 
 この日何の日? 
渡辺美里のセカンドシングル「GROWIN' UP」がリリースされた日
この時あなたは
0歳
無料登録/ログインすると、この時あなたが何歳だったかを表示させる機能がお使いいただけます
▶ アーティスト一覧

 
 1985年のコラム 
音楽が聴こえてきた街:歌舞伎町ディスコに響き渡るBOØWY「NO. NEW YORK」

スティーヴィー・ワンダーはポップミュージックにおける唯一絶対の正解!?

音楽の美しい連鎖、スティーヴィー・ワンダーとホール&オーツ

日本中を沸かせたハウンド・ドッグ、いまなぜ誰もその名を口にしないのか?

ワールドカップ予選突破なるか!80年代ニッポンのロックボーカリスト最強イレブン

80年代の不倫ドラマ「金曜日の妻たちへ」あの頃とは違う “今のせつなさ”

もっとみる≫



photo:MYDAY  

見開かれた大きな目と不服そうな顔。10代の哀しみと希望をたたえたファニーフェイスは爆発のときを待っていた。これから起こることをもう知っているようにも見えた。

「すごい子が現れた」。85年春。音楽メディアはどこも色めき立っていた。渡辺美里。高校を卒業したばかりの18歳。前年のミス・セブンティーン・コンテストで最優秀歌唱賞を受賞し、85年5月にシングル「I'm free」でデビュー。しかしこの曲は(おそらくタイアップ先の意向から)映画『フットルース』のサントラに収められているケニー・ロギンスのカバーで、アルバムにも収録されず本人の経歴からもほぼ抹消されている。プロモーションもそれほど積極的にされていなかった記憶がある。

話題の的は8月にリリースされる2ndシングル「GROWIN' UP」だった。カセットテープに記された作曲者は当時19歳、まだ誰もその名を知る人はいない岡村靖幸。次の「My Revolution」があまりにヒットしてしまったため今は影が薄くなってしまった感があるが、ここを境になにかが変わる、というざわざわした予感は大学を出たてだった私にもはっきりとわかった。

ガール・ポップなどという言葉をまだ誰も思いついていない時代。アイドルもシンガーソングライターも歌うのはラブソングで、オーバー・グラウンドにいる女の子が「で、あなたはどうなの?」と聴き手のみぞおちを突くような歌をうたうことはなかった。アレンジは後藤次利。TM NETWORKの3人と岡村靖幸がコーラスで参加している。作詞はTMの「Come on Let's Dance」なども手掛けていた神沢礼江。渡辺美里という存在が自然とこういう詞を書かせたのか、スタッフからテーマと方向性を提示されたのか定かではないが、いずれにせよ完全な当て書きとして成立している。意志と主張を持った言葉がリズミカルにはじき出され、しかもその声はボリュームダイヤルを間違えたのではないかと思うほどたっぷりと響く。

東京での初ライブは10月4日、今はなき名門ライブハウス新宿ルイード。駆け出しのライターとしてその場にいさせてもらえたが、立錐の余地もない状態で、ほとんど何も見えなかったのを覚えている(キャパの倍以上の人がつめかけた、彼女自身が高校の後輩に手売りしたチケットもあった、等はあとから知った)。MCは一切なかったと思う。

半ば呆然としながら某編集部に足を運ぶと、足元がぐらりと揺れた。東京を震度5の地震が襲い、周囲は騒然とした。騒然のダブルパンチだった。素晴らしい1stアルバム『eyes』やその後のことについてはまた稿を改めて。

2016.07.26
50
  YouTube / nudieheart
 

Information
あなた
Re:mindボタンをクリックするとあなたのボイス(コメント)がサイト内でシェアされマイ年表に保存されます。


おすすめのボイス≫
1996年生まれ
みなみ
渡辺美里さんはいとこのお姉さんが好きで、遊びに行った時とか、たまに聴かせてもらいました。この曲は知らなかったですけど、乃木坂に似ている気がします。なんか清々しいです。
2016/07/29 04:10
4
返信
カタリベ
1962年生まれ
佐々木美夏
コラムリスト≫
85
1
9
8
6
EPICソニー名曲列伝:渡辺美里「My Revolution」エピック黄金時代がやって来た!
カタリベ / スージー鈴木
58
1
9
9
5
華原朋美「keep yourself alive」歌詞に込められた10代の不安や苛立ち、そして希望
カタリベ / 長井 英治
15
1
9
8
6
これぞ80年代のプレイリスト「BEAT EXPRESS」新しい音楽の楽しみ方!
カタリベ / 工藤 大登
24
1
9
8
4
不良少女とよばれて、大映ドラマ栄光の80年代と胸アツ!カヴァー主題歌
カタリベ / DR.ENO
47
1
9
9
6
globe と JR ski ski の最強タッグ「DEPARTURES」終わらなかった2つのバブル!
カタリベ / ミゾロギ・ ダイスケ
37
1
9
7
8
渡辺真知子「ブルー」:スージー鈴木の OSAKA TEENAGE BLUE 1980 vol.9
カタリベ / スージー鈴木