6月21日

東海岸の「ホワイト・ライオン」ドナルドじゃなくてマイク・トランプ!

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ホワイト・ライオンのセカンドアルバム「プライド」が全米でリリ―スされた日
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photo:Discogs  

今やトランプと言えばアメリカ合衆国大統領のドナルド・トランプだが、ハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)好きならホワイト・ライオンのマイク・トランプを忘れてはいけない。ちなみに、ドナルドのほうはドイツ移民の子孫、マイクはデンマーク出身だそうで、どちらもヨーロッパ系ということになる。そう、アメリカは人種の坩堝といわれるくらい多様性のある国で、それがジャズやブルース、カントリーにロックなどなど、音楽にも現れている。

さて、そのマイク・トランプ(Vo)とヴィト・ブラッタ(G)によって、ニューヨークで1983年に結成されたホワイト・ライオン。私がこのバンドを知ったのは1985年の1stアルバム『ファイト・トゥ・サヴァイブ』に入っているバラード「ヴァルハラへの道(The Rord To Valhalla)」だったが、その後、1987年の2ndアルバム『プライド』のヒットで一躍その名を広めている。

マイク・トランプのヴィジュアルを見る限り、いわゆるグラムメタル、ヘアメタルに分類されるのだろうが、ヴィト・ブラッタの存在が単にそのジャンルに止まらせなかったように思う。初期にはストラトキャスタータイプのギターを使用していたが、ヘッドレスギターの代名詞 “スタインバーガー” を弾くようになってからのギターフレーズは今も印象に残っている。

ヴィトのギタースタイルはエドワード・ヴァン・ヘイレン的とも言われていたが(ライトハンド タッピングをヴィトもよく使う)、それもそのはず、ヴァン・ヘイレンやR&Bに影響を受けたらしく、音数の多い独創的でメロディアスなギターはひと味違うハードロックを聴かせ、好む人は多かったのではないかと思う。

そんなホワイト・ライオンのヒットアルバム『プライド』。一番のヒット曲、「ホエン・ザ・チルドレン・クライ」で弾く秀逸なアコースティックギターからはヴィトの非凡さが感じられたし、リードシングルの「ウェイト」はアコギの効いたポップな作品で、マイクの歌声(枯れた声というのかハスキーヴォイスというのか)が哀愁を漂わせ、ロック特有の攻撃性をオブラートで包んだように聴かせてくれた。

東海岸(ニューヨーク)で結成されたせいか、どこか都会的で洗練された音楽性を持っていたホワイト・ライオン。派手で賑やかなバンドが多かったLAメタルを意識しながらも、それらとは一線を画す音楽性を持っていたように思う。

バンドは1991年に解散。マイク・トランプは現在も活動しているがヴィト・ブラッタは解散後表立った音楽活動を辞めてしまった。ピザ屋をやっているとか元々車好きだったので車屋をやっているとか、ギターを置いて何をしているのか噂の域をでないようではあるが、手首を怪我したということも言われている。マイク・トランプも解散以来ヴィト・ブラッタとの交流はないと言われている。

それにしてもヴィト・ブラッタ、実に惜しいギタリストであった。もっと曲やギターを聴きたかったと思うロック好きは少なからずいるに違いない。私もその一人である。

2017.01.21
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