2024年 3月6日

没後15年【5月2日は忌野清志郎の命日】いつまでもキヨシローに頼るんじゃない!

114
0
 
 この日何の日? 
忌野清志郎のアルバム「忌野清志郎 / ロックン・ロール~Beat, Groove and Alternate~」発売日
この時あなたは
0歳
無料登録/ログインすると、この時あなたが何歳だったかを表示させる機能がお使いいただけます
▶ アーティスト一覧

 
 2024年のコラム 
今も走り続けるTRF【武道館ライブレポート】日本のダンスミュージックの礎から30年!

小林克也は日本最高峰のディスクジョッキー!スネークマンショーでの最新コントも発表

映画「チェッカーズ 1987 GO TOUR at 中野サンプラザ」懐かしいだけの思い出じゃない!

歌手・研ナオコの魅力「中島みゆき作品BESTアナログ」記憶にも記録にも残る名唱の数々!

時代に流されない音楽家【辛島美登里】35周年アルバムには槇原敬之や永井真理子が参加!

没後15年【5月2日は忌野清志郎の命日】RCサクセションのロックンロールは続く!

もっとみる≫




常にバンドマンであり続けた忌野清志郎


5月2日は忌野清志郎の命日。清志郎が彼の地へ旅立って15年が経ったが、その影響力が衰えることはない。今も世の中に不穏な空気が流れると、「こんな時、清志郎ならどんな発言をするのだろう?」というようなコメントをSNSで見かけたりする。

時にはシニカルに、世の中の矛盾を突く的を射た発言は、多くの人の心の拠り所になっているだろう。確かにこういった側面も魅力であるが、清志郎は常に、当事者であれ、自発的であれと促していたはずだ。だから僕は “そんなに清志郎に頼るんじゃない” とも思ってしまう。それと同時に清志郎は常にバンドマンであり続けた。その本質をしっかりと感じ取っていたいとも思う。

清志郎は生涯 “バンドマン” という呼称にこだわり続けた。シンガーでも、ミュージシャンでもない。バンドマンだ。RCサクセションをキャリアのスタートとして、活動休止後のザ・タイマーズ(以下:タイマーズ)にしても2・3'sにしてもLittle Screaming Revueにしても圧倒的なバンドサウンドであったし、それぞれのグルーヴの中で清志郎のヴォーカルは、多彩な表情を見せた。タイマーズで行動を共にしたベーシスト、“BOBBY” こと川上剛は、そんな “バンドマン清志郎” について、以前、こんなことを語っていた。

「初めてのタイマーズのライブの時、興奮気味だった僕と章ちゃん( “PAH” こと杉山章二丸 / Dr)のリズム隊のテンポが走ってしまった。これはマズいと思って終演後にボス(清志郎)に謝りに行った。 “スミマセン、今日走っちゃいました!” と。そうしたらボスは “何言ってんだ。バンドだから一緒に走ろうぜ!” と言ってくれてね…」



これが清志郎の本質だ。川上はこの時、清志郎に一生ついて行こうと思ったそうだ。

叫びたい言葉があって、聴いて欲しいメロディがある


1988年、RCサクセション名義でリリースされたカバーアルバム『COVERS』の発売中止騒動をきっかけに清志郎は、RCサクセションでは歌えないことを、出来ないことを… という思いからタイマーズを結成する。政治的な批判も含めたラジカルなタイマーズの歌詞は社会現象として取り上げられ注目を浴びるが、やはりそこには歌詞を際立たせるメロディ、そして、音楽で自分たちのアティテュードを示すというバンドマンの矜持があった。そうやってタイマーズは走り出した。

“曲先” “詞先” という言葉があるように、多くのソングライターはメロディと歌詞を別々に作り上げる。しかし清志郎は、メロディと歌詞が同時に浮かび上がるという。叫びたい言葉があって、聴いて欲しいメロディがある。そこにバンドのグルーヴがあって、転がり続けていく。これが清志郎というバンドマンだ。



バンドマンの軌跡をたっぷりと堪能できるベストアルバム


2024年3月6日に発売されたベストアルバム『忌野清志郎 / ロックン・ロール~Beat, Groove and Alternate~』にはそんな清志郎のバンドマンの軌跡をたっぷりと堪能できる1枚になっている。

CMソングにもなり、日本中の誰もが知っているモンキーズの日本語カバー「デイ・ドリーム・ビリーバー」で感じることができる儚くも美しい普遍的な愛の世界も、生前最後のスタジオアルバム『夢助』に収録され、盟友チャボ(仲井戸麗市)との共作「激しい雨」の “RCサクセションがきこえる” という、この時期に敢えてのフレーズも、そこには聴かせたい歌をダイレクトに届ける清志郎の姿があった。

そして、タイマーズや2・3's、Little Screaming Revueはもちろん、海外ミュージシャンとの共演作にも注目だ。古くは、ロンドンへ渡りブロックヘッズのメンバーや元クラッシュのトッパー・ヒードンらと作り上げた『RAZOR SHARP』からの収録曲、「RAZOR SHARP・キレル奴」や、清志郎が敬愛するブッカー・T&ザ・MG’sと共演を果たした名盤『Memphis』からの「カモナ・ベイビー」など、グルーヴに身を任せながら圧倒的な存在感を見せる清志郎の凄みをたっぷりと感じ取って欲しい。

心のドアをノックし続ける清志郎


RCサクセションを離れても、清志郎はバンドにこだわり、バンドを愛し続けた。そうやって、常に当事者としてあらゆる事象と向き合いながら旅を続けていたのだと思う。名曲「JUMP」の中で清志郎はこんな風に歌っている。

 Oh くたばっちまう前に 旅に出よう
 Oh もしかしたら君に会えるね

僕らは人生という旅の途中で清志郎に出会った。そして、その歌声は今も頭の中でも、心の奥でも響き続けている。そしてその声は当事者であれ、自発的であれと心のドアをノックし続けている。


▶ 忌野清志郎のコラム一覧はこちら!



2024.05.02
114
 

Information
あなた
Re:mindボタンをクリックするとあなたのボイス(コメント)がサイト内でシェアされマイ年表に保存されます。
カタリベ
1968年生まれ
本田隆
コラムリスト≫
45
1
9
8
2
梅津和時が語るRCサクセション ② ライブ本数年間100本!武道館も出発点
カタリベ / 本田 隆
54
2
0
2
2
カメラマン・大川直人に訊く ② ミュージシャンのリアリティと音楽が聞こえてくる写真
カタリベ / 村上 あやの
50
2
0
2
2
RCサクセション初の武道館ライブ!失速のかけらもない清志郎のエネルギー
カタリベ / 本田 隆
33
1
9
8
9
忌野清志郎によく似た ZERRY 率いるザ・タイマーズの “FM東京事件” は衝撃だった!
カタリベ / 本田 隆
62
1
9
8
1
土曜の夜は「オレたちひょうきん族」桑田佳祐や大瀧詠一も手掛けた音楽の数々
カタリベ / 鈴木 啓之
22
1
9
8
6
くじらが捉えたヨーロッパの感覚、音に奥行きが出たパリのレコーディング
カタリベ / ふくおか とも彦